ブルーチーズを食い飽きない夜更け
いちばんに君に言いたいことは好き二番目以降は多すぎて、ない(黒田)
今は亡き子を抱くように寝入る夜の蒲団は温み星は瞬く
いとおしい君が歩みしその道に罪という字を書きおきしこと
柔らかく殺せるのなら不幸などないかも知れぬ 地獄でもある
黒い夜がどこからともなくやって来て君の背後に車が通る
ああ君の眦緩き生活を望んでビルの明かりが消える
君を抱く男の腕の肌は白くて携帯電話は不意に鳴り出す
悲しきはもやし食いつつ泣きじゃくるその悲しみのわけを知る夜
遠き日に美しかった瞼には薄く化粧の残る落日
どうにでもしてしまいたい事柄は磐石である永遠の夜
もし君が君の母なら僕はただ回り道する ぐるぐるとする
君の手で君が亡くした石ころは拾う人なく川べりにある
戸惑いの子供が橋に佇めば森羅万象落日である
ただひとつ君と出会った喜びは君がこの世にあるということ
一瞬に消える何かを君の手で消したのだろう愛という名で
春の花紅梅までが匂うほど君の背負った鞄は重い
春の花開けよ開け香るならすべて弔い花として咲け
君の部屋の窓から漏れるその明かりのどの辺になら愛はあるのか
夕べからの山の気配が君の家の屋根の端にも残っていたよ
この道が君の気配を切る前に君の温みを噛み締めるガム
遠くから眺める君は朗らかで泣くことなんて信じられない
この風がもう少しだけ温かくなったら君は笑うのだろう
明らかにテンパリングは艶めきて覆い隠せしことのいくつか
君の好きなホットチョコレートに少しだけラム酒を足してぼんやりとする
きみの作るトリュフはいつも小さくて悲しい顔で見つめてしまう
ベローナのチョコレート買う女子のブーツは白くまた白くあれ
香り付けにグランマニエを少しだけ重くなったらごめんなさいね
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