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October 31, 2005

2周目 091~100

091:暖
    かな書きの手紙の裏に暖流の下手な図がある 私のように

092:届
    怒られて遅刻届を書きにゆく零したものを言い訳にせず

093:ナイフ
    父親の机の中のナイフなど錆付いていて開きはしない

094:進
    赤は止まれ青は進めだこの晴れ間ただ妄想は高速で行く

095:翼
    もうきみは大人なのかな金色の翼のかわりのピアスが二つ

096:留守
    今日明日と両親は留守紺碧のタイルの上できみ抱く夢

097:静
    校庭で騒ぐ男の声がして「静かにしろ」とわめく担任

098:未来
    欲情と不安を抱えこの席で未来について語る僕らだ

099:動
    体育の終わったあとの教室は動物の香がありありとある

100:マラソン
    マラソンは四十八位でゴールした都道府県では満たぬ苦しみ

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October 30, 2005

2周目 081~090

081:洗濯
   あのシャツについた茶色い血のしみも洗濯すれば白くなるのか

082:罠
   罠は罠おまえの家に下る坂の水溜りにも昼の風吹く

083:キャベツ
   夕飯にキャベツを刻む青臭い空気しきりにむさぼるように

084:林
   友人が林のようだ無言にて朝のクラスになぜか立っている

085:胸騒ぎ
   赤ペンがじりじりにじむ書くことも胸騒ぎさえないこの3校時

086:占
   占いで獅子座のきみは仔兎のように牙むく汗などかいて

087:計画
   昼食をラーメンにする計画を立てて机に決行と書く

088:食
   ラーメンを食いつつ見ればおばちゃんが一杯一杯味見している

089:巻
   サッカーをするグラウンドにつむじ風砂と昼間を巻き上げて吹く

090:薔薇
   校庭の薔薇園に実が赤く生るその葉に多数の噛み跡がある

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October 26, 2005

2周目 71~80

071:次元
   明らかに背伸びしている太腿にただ二次元の椅子のあと見る

072:インク
   青インクで書いたノートがいつの間に虹色になる秋雨の夜

073:額
   額には居眠り跡があかあかと残っているので談笑をする

074:麻酔
   午後二時の麻酔に沈む眠りなどかばんにつめて奴の背を打つ

075:続
   恋愛の続きなどなく欲情のままに寝転びドラえもん見る

076:リズム
   夕飯を食い果ててのちの宿題を目覚まし時計のリズムにて解く

077:櫛
   あの櫛は髪を何度も梳くだろうおまえの髪を痛ましいほど

078:携帯
  狂気などごく一般に携帯しB4の芯をシャーペンに刺す

079:ぬいぐるみ
  おまえにもぬいぐるみ抱く夜があり眠るのだろうか数式の渦

080:書
  担任の書く解答例に添削し真っ赤に染めて丸めて捨てた

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October 23, 2005

2周目 070:曲

この坂は曲がりくねって下りている曲がりくねっておまえに逢える

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October 22, 2005

2周目 069:花束

黒板にチョークで描いた花束を何も残さず丁寧に消す

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2周目 068:四

十四であなたを初めて見た日から何かが壊れて何もできない

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2周目 067:スーツ

担任のスーツの袖を白く染めるチョークの粉はまだ雪でない

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2周目 066:消

消火栓の赤いランプで見るノートになぜか九月の日付だけない

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October 21, 2005

2周目 065:城

夏草が萎れ始めたこの城でおまえのことを柿として喰う

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October 20, 2005

2周目 064:科学

青空が舞い込んでくる科学室でおまえの名前を幾たびか書く

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October 11, 2005

2周目 063:鬼

まだ鬼がいるのだろうか愛してるこの現実があるのだろうか

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2周目 062:風邪

風邪を引くあなたの鼻が赤くなる涙目になる さわってみたい。

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October 10, 2005

シモネタ②

清冽な笑顔のきみも飲むんだね「飲む寒天」をずるずると日々(黒田)

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2周目 061:じゃがいも

じゃがいものような頭でございます 汗は流れる君は遠のく

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2周目 060:影

ただいまのあなたの影をもちまして終幕とする 白い太腿

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October 09, 2005

2周目 059:十字

白い肌にじりじりと刺す時間など気にせずに待て夏の十字路

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October 08, 2005

2週目 058:剣

そのまんま剣を呑んだ喉のまま泣きとおしていいよ 青空!

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October 07, 2005

2週目 057:制服

あの子ならかわいいはずだ制服の風がふうわり シトラスである

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2週目 056:松

このままで歩いていたい それなのに不安が残る 松がカサカサ

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シモネタ①

いつか見たもも色なんだじっとりと汁を啜った体温のもも(黒田)

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October 06, 2005

2週目 055:ラーメン

ラーメンの油染みほど思い出があるのであれば幸せだろう

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