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January 31, 2021

山羊の気持ち

今日は山羊の気持ちでチーズトーストを食べた

牛の乳は甘く

トマトは鮮烈な酸味があった

日々苦味の草を食んでいる身として

穀物の甘味は喉の奥に染みた

チーズトーストには自分の角の影がくっきりと映って

コーヒーの湯気に髭が冒されていく気がした

いつものように折った首筋を真っ直ぐにする時

岩を登る先人の威厳を感じた

たぶん

明日はまた岩の隙間の青草の芽を

シャクシャクと食って

有り余る陽射しを浴びるのだろう

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January 30, 2021

山と鳥居と

小さな鳥居の向こうに小さな神様がいて

小さな手で手招きをする

小さな手で招かれた小部屋は実にボクの世界だったよ

全部ってこれだったんだね

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January 29, 2021

西の山から

西の山から

雪雲が湧き立って

雲の中は吹雪である

ひゅうと切断する音声は

麓の家々や人々や冬木立の何らかを切り開く

切り開いてはその間を通り過ぎていく

体も樹幹も枕も配線すらも切り裂かれて

おのおのの肉と血をゆるした


夕刻になって

日が雲を乗り越えて落ちる

西日は壮絶な赤になって

雪雲は吹雪いたままの達磨になる

厳しく丸く

峰の上に座す達磨にはまだ目が入っていない

雑踏も枝の鳴る声も床柱の軋みも

誰が目を入れるのだろうかと

同じ言葉を

違う音声で重ねあう

だが

その声が届く頃には

達磨はもう消えているのだ

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